摂食ライブラリ

摂食障害当事者のみんなで作るWebサイト

「自殺でしか治らない」から「克服のヒントは必ず見つかる」まで

きっかけは就職活動。なかなか内定がもらえない中、たまたま目にした「アメリカでは、肥満者は、会社での昇進(出世)に支障がある。なぜなら、肥満とは、自己管理ができない、と見なされるから」みたいな記事がきっかけで、「肥満⇨自己管理能力なし⇨昇進できない、仕事がない」と思い始めて、「痩せなくては」となった。

始めは、食べる量を減らしていった。就活で忙しかったのもあって、期間は忘れたけど、気が付けば確か5キロくらいは痩せていた。

みんなと同じで、日々の成果が数字(体重)となってはっきりと実感できることが、ダイエットを加速させていったと思う。ただ、元々太っていた訳ではない(164センチ、53キロ)ので、それ以上はなかなか痩せなくなっていた。それと同時に、だんだん食べたい欲求が出てきていた。

ある時、お酒の席で、酔った勢いもあり、結構食べていた。そして単純に飲み過ぎて、普通に吐いた。「これだ!」と思った瞬間だった。

「沢山食べても、酒飲んで吐いてしまえば、食べたくても痩せる!」それからは、酒を飲んでの過食嘔吐に移行した。

そしたら、また痩せるようになった。だんだん過食嘔吐の頻度が増え、いつしか毎晩のように飲んでは吐くようになった。

39キロになった辺りから、どう頑張ってもそれ以上痩せなくなっていた。男だし、その辺が限界値だったのかもしれない。

だんだん、過食嘔吐が辛くなってきた。

「やめたい」と思うようになった。

でも、やめられなかった。

「今日こそは吐かずに食べよう」と思っても、どうしても過食嘔吐をしないと1日が終わらなかった。

そして、「やめたい」と思うのと同時に、「どうしてやめられないのか」ということについても、真剣に考えるようになっていた。

過食嘔吐をやめたいのに、やめられない。でも、やってるのは自分。やめるのも自分。全部自分。全部自分の意思でやってること。だって、脅されて強制的にやってる訳じゃない。嫌ならやめりゃあいいだけ。

・・・だけど、それがどうしてもできない。自己管理、コントロールを目指して始まったはずのダイエット。だけど完全に自己管理は崩壊していた。

その時、思ったのが「寝ている時は過食嘔吐してない」ってこと。

そうか、意識が止まってれば過食嘔吐しないのか⇨意識を止めよう⇨脳を止めよう⇨死のう⇨自殺。

でも、自殺は未遂に終わった。

どっかで見たように、手首を切れば意識が遠のき、やがて死ぬ、と思っていたが、現実は違った。

最初は噴水のごとく血が噴き出した。でも、だんだん勢いは治まり、意識は遠のかなかった。もう一度手首を切る勇気はなく、恥ずかしながら自分で電話して、救急車を呼んだ。

親には、この時初めて摂食障害であることが知られた。

っていうか、自分自身も、自分が摂食障害だってことを、初めて知った。それ位、自分が病気だという認識はなかった。

「摂食障害」という言葉さえ知らなかった。会社を一旦休職し、精神科に通うこととなった。

肝臓の状態が良くないということで、飲酒は控えるよう言われた。酒を飲まないと吐けなかったので、吐かない前提の食事をしばらく続けたが、ある日無性にパンが食べたくなり、それから非嘔吐過食が始まった。多分、1か月くらいで39から60キロになった。

さすがに耐えきれなくて、何とか吐こうと、指を突っ込んでいるうちに、吐けるようになった。

再び過食嘔吐が始まり、50キロを切ったあたりから、一応何とか納得できる体重、という感覚になった。会社の休職期限の問題もあって、復職することとなった。

しかし、摂食障害マインドが克服できた訳ではなく、仕事をしながらの過食嘔吐が再び始まっただけだった。結局、半年ほどで、過食嘔吐が辛すぎて会社は辞めざるを得なかった。

それからは、実家に引き籠り状態で、毎日過食嘔吐に明け暮れた。起きる⇨買い物⇨過食嘔吐⇨寝る、の繰り返し。

会社を辞める時は、疲れ果てて、「食べたいだけ食べて、寝たいだけ寝たい」と思っていたので、始めは良かったが、再び過食嘔吐をやめたくなってきた。

引き籠り状態は3か月くらいは続いた。

自殺未遂直後は、親が調べた病院をいくつか受診したが、自分としては何となくしっくりこないこと、カロリーがわからない薬を飲むことに抵抗があったことで、足は遠のいていた。

そんな中、元摂食障害というカウンセラーに出会うことができた。経験者ということで、信頼することができ、個人カウンセリングを受けたり、グループミーティングに参加していた。

克服のきっかけは、通っていたカウンセリング機関で、ある男性と出会ったことだった。

その男性は、カウンセラーの先生と雑談をしていて、私はそこに同席して2人の会話を聞いていた。

男性は「昨日は食べ過ぎちゃって、500g太ったから、今日は食べないで痩せなきゃ・・・」みたいなことを真剣に話していた。

男性は、会話の内容から察するに、30代半ばらしかった。しかし、嘔吐で歯がボロボロになってしまったのか、口元がやけに老けて見え、40代後半くらいに見えた。

当時私は、20代半ばで、その男性の言っている、「500g太った」とか、「今日は食べないで痩せなきゃ」とかは、まさに自分が毎日毎日真剣に考え悩んでいることと、全く同じだった。

10年後の自分を見ている気がした。自分が今のまま何も変わらなけれが男性のようになってしまう。それはちょっといやだった。自分を客観的に見ることが出来た瞬間だった。

引き籠り状態の生活の中で、過食せずにテレビを見ることができる時間があった。始めはグルメ番組や、大食い選手権みたいな番組ばかりを見ていた。ある時から「恋愛もの」みたいな番組を見るようになった。

その番組は、20代前後の男女が出演する素人参加型で、基本、彼氏彼女がいるいわゆるカップルが出演して、相方に対する不満、みたいなことを言っていて、彼氏彼女を交換する?みたいな番組だった。

それを見て「20代って、食べるとか、痩せるとか、そんなことより、彼女ほしい、とか考えて生きているんだよな」「この番組の収録のために、おそらく4~5時間くらいは、何にも食べていないんだよな・・・それでも平気なんだよな」そんなことを考えるようになった。

そして、毎週毎週を見ているうちに、だんだん「彼女がほしいな」みたいなことを考えるようになった。そうすると、「食事」がキーワードになる。

人と「普通に」食事ができなければ、女の子を誘うことも、コミュニケーションをとることもできない・・・

そんなことを考える日々の中で、少しずつ自分の中での優先順位が変わっていった。「痩せたい」よりも「普通に食べたい」と真剣に考えるようになっていった。

少なくとも人前では普通に食べるには、吐かずに食べるということ。そのために、安心して食べられるものを探すことにした。

すなわちそれは、「これはどれだけ食べても太らない」と信じることができるもの。

身体の中に食べ物が溜まっている状態は、やっぱり許せない。でも、吐いて出すわけにはいかない。

なので、便として排泄することを考えた。ならば食物繊維、ということで辿り着いたのが「オールブラン」。

最初はこれをチョイスし、お菓子代わりにオールブラン、過食したい時にオールブラン。とにかく、出来る限りこれを徹底した。

その後は、キャベツの千切りに納豆や生卵をかけたものや、千切りキャベツに鰹節とお好み焼きソースをかけたものなど、とにかく「安心」と「太らないと信じている」をキーワードに、少しずつ吐かずに食べるものを増やしていった。

ここで重要なのは、実際に太らないかどうかではなく、「食べても安心」と「太らないと信じている」。事実としては、吐かなければやっぱり多少は太った。

でも、自分の中の優先順位が変わってきていたので、そこには目をつぶり、とにかく吐かないことだけを最優先とした。

この考えは、過食嘔吐を克服した今でも、おそらく持ち続けている。

今でも「普通に」食べているものは、「食べても安心」と「太らないと信じている」がキーワード。

・・・就活をきっかけに始まったダイエットから、5~6年が経過していた。

その後も、ピタリと過食しなくなったというわけではなく、たまに無性に食べたりすることもあった。でも、吐くことはしなくなっていた。

それは、経験として体感的に1日くらい過食したところで、その後太り続けるということは、実際には起こらない、ということがわかったから。以前はそうではなかった。

たった1回の過食が永遠に太り続けることに繋がる、と頑なに信じていた。だからこそ、1回のミスも許されない、がんじがらめの状態だった。

今は、プチ過食はごくたまにある(かもしれない)けど、嘔吐は全くなし。1日3食「普通に」食べてます。

ただし、食べ方のマイルールはいくつかあり。食前にナッツ食べる、糖質は良質な油でコーティング、お酒以外の飲み物は、基本白湯のみ、など。基本自宅でやっており、外食の時は、柔軟に対応してます。

あと、最後に「閲覧者に向けたメッセージ」をお送りして、締めたいと思います。

摂食障害は、本当に難しい病気です。克服するのには時間がかかります。なぜ難しいのか・・・それは、自分で自分を縛っている、攻撃している状態だからです。

完璧主義、ハードルの高いマイルール、0か100か主義などが複雑に絡み合った結果、自分で自分の首を絞めてしまっています。ですが、そこに付け入る隙があると思っています。

自分で自分の攻撃の手を緩めればいいのです。そう・・・自分自身は患者であり、治療者でもあるのです。

ただし、一人の力で手を緩めるのは簡単なことではありません。出来ることなら、いろいろな情報に触れ、摂食障害に理解のある人とのコミュニケーションをとってください。

その一つ一つの積み重ねが、必ず明日へ繋がります。

どうか、諦めないで。一緒に克服のヒントを探しましょう!

 

この体験談を書いた人
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